【再生の街 水谷門下生の震災15年】(上)神戸市灘区・六甲道駅南地区(産経新聞)

 ■住民と一歩一歩

 神戸市灘区のJR六甲道駅の南側。十数棟の高層住宅の中央に、鮮やかな芝生の公園が広がる。滑り台で遊ぶ子供たちの歓声が、ぽっかり空いた空に抜けていく。「子供の声がまた響くようになった」

 地元老人会長の斉木久美子(80)と自治会長の上野貞冶(80)は目を細める。この公園は、住民自らが筆をとり、カンバスに刻みつけるようにしてたどりついた形だった。

 大型の商業施設などを、昔ながらの長屋や個人商店が囲む六甲道駅南地区は、震災で約65%の建物が全半壊した。復興に向けた再開発事業を神戸市が都市計画決定したのは震災からわずか2カ月後。斉木は「寝耳に水だった」と振り返る。

 10年前に建て替えた家は激震に耐えた。「せっかく残った家をどうして壊さなあかんの」。約50世帯が避難せずに残っていた。一方的な決定に、住民らは熾烈(しれつ)な反対運動を繰り広げた。住民との協議に臨んだ元市職員の倉橋正己(60)は「本題にすら入れなかった」と話す。

 倉橋は神戸・ポートアイランドの基本計画などを手がけた建築家、故・水谷頴介(えいすけ)の門下生だ。都市計画の専門家として後進の育成にも力を注いだ水谷の下には、若き日の安藤忠雄も事務所で都市計画を学ぶなど、多くの建築家が集まった。

 「町は住民のものという当たり前のことを忘れたらあかん。ひたすらに、住民の声に耳を傾けろ」。水谷のこうした言葉を胸に刻み込む倉橋は、ぶつけられる怒りにも言い返さず、じっと受け止めた。

 一方、上野は60年以上住んだ自宅が全壊し、仮設住宅暮らしが続いていた。反対派の住民に「一刻も早く帰りたい。この町で生きていきたい」との思いを伝えた。家をなくした者もそうでない者も、街を愛する気持ちは同じ。震災から半年後、住民らによるまちづくり協議会が設立された。

 市が提示した計画では、正方形の公園を高層棟が取り囲んでいた。「住民同士の顔が分かるよう、1棟に50戸まで」「すべて南向きに」。協議を重ねるうち、公園は羽子板状になった。

 最終案完成までに住民と市が重ねた協議は実に124回。倉橋は「地元の人と話す。一歩一歩いくしかない」との信念を貫き、震災から2年の早さで計画策定にこぎ着けた。水谷の教えの集大成だった。

 今年で竣工(しゅんこう)から10年。「使い勝手はいい。70点かな」と斉木が話せば、上野も「不満はないよ。過去ひきずって、しょぼくれててもしょうがない」と笑う。

 ただ、2人とも希薄化する関係に危機感を感じている。あのとき、近所の人の名前を呼びながらみんなで救助した。住民らが作り上げたカンバスに、きずなという新しい絵を描くのも、また住民のほかにない。(塩塚夢)

 =文中敬称略

                   ◇

 17日で阪神大震災から15年。震災直後から各所で住民と復興に取り組んだ水谷門下生の姿を追った。

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特捜部執念の捜査 「国民を欺いている点で悪質」 (産経新聞)

 民主党の小沢一郎幹事長の資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる政治資金規正法違反事件で、東京地検特捜部は15日夜、小沢氏の元秘書で会計事務担当だった衆院議員の石川知裕容疑者(36)らの逮捕に踏み切った。昨年3月の公設第1秘書の逮捕以来、小沢氏側の不透明な資金について、執念の捜査を続けてきた特捜部。捜査の経緯や狙いを追った。

 ■批判をバネに

 特捜部が初めて小沢氏側の強制捜査に着手したのは西松建設の違法献金事件を立件した昨年3月。

 その際、民主党側だけでなく、身内の検察OBからも「衆院選が近い時期になぜ着手するのか」「表のカネだけで逮捕するのか」などの批判が渦巻いた。

 特捜部は“逆風”を受けながらも、その後もヤミ献金など小沢氏周辺の「裏のカネ」を探る捜査を継続。その過程で浮上したのが、小沢氏の資金管理団体「陸山会」が平成16年10月に購入した東京都世田谷区の土地をめぐる疑惑だった。

 昨年7月には、国発注の胆(い)沢(さわ)ダムの下請け工事を受注した水谷建設元幹部らから、土地購入と同時期に5千万円を石川容疑者に渡したとの供述を得て、ダム工事を受注した各社の裏献金が土地代金の原資になった疑いがあるとの見方を強めていった。

 ■逮捕か在宅起訴か

 購入原資の特定には当時、資金移動に直接関与していた石川容疑者の供述が焦点となり、昨年12月、特捜部は石川容疑者の任意聴取に踏み切った。

 しかし、石川容疑者は「小沢先生のたんす預金」「記載を忘れていた」などと虚偽ともとれる供述を続け、今月13日に陸山会などが一斉捜索を受けた後の3回目の聴取でも、その対応は変わらなかった。

 また、小沢事務所が土地代金の原資について、定期預金を担保にした融資で支払ったと虚偽の説明を報道機関に展開し、土地代金の原資を隠すための偽装工作が発覚。これに加え、小沢氏も5日の聴取要請を「忙しいから」などと無視し続けた。

 この事態に、任意での捜査を慎重に進めるべきだとする上級庁に対し、特捜部は石川容疑者らの逮捕を強く迫った。検察内部では石川容疑者らの刑事処分をめぐって判断が分かれた。

 だが、小沢氏の聴取拒否や石川容疑者の虚偽説明などが風向きを変えた。逮捕に慎重だった上級庁も「全容解明には石川容疑者らの逮捕が必要」と一致したのだ。ある検察幹部は「捜査に協力的ではない小沢氏側の対応で、検察内の雰囲気が変わった」と話す。

 陸山会の不動産問題では「隠し資産を所有している」との週刊誌記事をめぐって、小沢氏が出版社を訴えたが、20年6月の高裁判決で「前提事実の重要部分は事実」として1審に続いて小沢氏の請求が棄却されている。

 こうした経緯からも、ある幹部は「不動産問題がこれほど問題視されている中で、小沢氏側は一貫して融資で購入したと説明してきた。国民を欺き続けている点で悪質だ」としている。

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