【話の肖像画】辺境より(下)作家・佐々木譲 傷ある人間に共感する(産経新聞)

 −−直木賞受賞作「廃墟に乞う」も主人公に心の傷があったりしますが、そういう人物造形は意図的ですか

 佐々木 健全で健康な人間っていうのは書けないんですね。そういう人間よりは、傷があって、それでも精いっぱい生きている人間のほうに共感して、そういう人間を書いてみたいという気持ちがあって。

 −−物語にもなんというか、ずしりとした重さがあって

 佐々木 現実の人間の悩み、苦悩、葛藤(かっとう)を書いていこうとしたら、必ずしもスカッとした終わり方にはならない。普段、私が好きで読んでいるミステリーや探偵小説も、事件の解決が主人公の幸福につながるようなものばかりではないですね。ある種の苦々しさ、やりきれなさが残って、それでも仕事を全うしていく。そういうトーンの話が好き。相手をぶちのめしてすっきり終わる、というようなラストにはなかなかならない。

 −−でも暗いラストではない

 佐々木 基本的にはどこかで救ってやりたいですよ(笑)。エンターテインメントですし、すっきりではないにしても、救いはありたい、ですね。

 −−編集者とよく話されるんですか

 佐々木 ブレーンストーミングのように話をしながらやっていくのが好きなんですね。物書きによっては、自分一人で決めて全部書き終えてから「どうですか」と出せる人もいるけれど、私は「こういうの温めてるんだけど、どう思う?」なんてあれこれ話をして、やっと書き出せるというタイプ。

 −−あ、それならこういう話もありますよ…とか?

 佐々木 そうです。やりとりしてる中から書きたいものが明確になってくる。

 −−弊紙で連載していたコラムは正義感にあふれた直言が印象的でしたが、小説は語り口が違いますね

 佐々木 小説の場合、特にエンターテインメントの場合は、メッセージ性というのはあまり出さないほうがいい。エッセーやコラムのような表現形式を別に持っているなら、そういうのはそこで書いて、小説では下層にまぎれ込ませておくべきだと思います。

 −−最後に。作家として最高の快楽とはなんですか。書き上げた瞬間?

 佐々木 いや、渡した原稿を読んだ編集者が「あっ」と言ってくれたとき。いろんなことを話し合ってるから、展開も結末も知ってるわけです。それでも驚かせる。それが一番の快感です。(篠原知存)

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